日本の生活を楽しんでいるように見える中国人留学生だが、心の中は?(写真はイメージ)

 日本に留学する中国人は9万人を超えており、全留学生の半分近くを占めている。一部の日本人からは「日本の大学が乗っ取られる」「高度な技術が盗まれる」などといった声も上がっているが、その実態を知ればそんな心配は無用だろう。

 ここ30年ほどの間に、中国人留学生の気質は大きく変わった。1980年代の初頭、中国が改革開放路線に舵を切った直後に日本に来た留学生は極めて少数であり、彼らはまさにエリートだった。

 貧しい中国人が自費で日本に留学できる時代ではない。ほぼその全てが日本国政府から奨学金を得ての留学だった。選抜は中国で行われたが、多くの人が殺到したために選ばれるのは極めて難しく、本当の秀才しか日本に来ることはできなかった。

 1990年代に入ると中国の経済成長に伴い、自分で渡航費を用意して日本に来るケースも増えた。彼らは郷土の先輩や友人が住むアパートに転がり込んで、アルバイトをしながら日本の大学や専門学校で学んだ。その頃は、6畳一間のアパートに3人が住んでいるなどといった話をよく聞いたものだ。

 1989年に起きた天安門事件の影響もあった。事件に直接関与して逮捕された者などは米国に亡命するケースが多かった。天安門事件後に中国に住みづらくなったという理由で日本に留学する学生もいた。彼らは必死で勉強して、日本で就職先を見つけようとした。そして、実際に日本で働き口を見つけた人も多かった。