数年前に中国で、ある中学校の生徒が授業中に突然亡くなったというニュースが世間を騒がせました。死因は過労に伴う心臓発作でした。その生徒は睡眠時間を減らして猛烈に勉強し、いつも大量の宿題に取り組んでいたそうです。年々過酷さを増す中国の受験戦争の一端を表す事件として当時話題になりました。
この事件が起きてから数年が経ちましたが、現在はこのような事件はあまり伝えられません。事件の数が減ったからではありません。むしろ、その後も子どもの過労死や自殺が増え続け、前ほど珍しくなくなってきているのがその理由のようです。
今回は筆者が周りから直接聞き取った内容を盛り込みながら、当の中国人たちも認めるほど歪んでいる中国の教育の実態について紹介します。
小学生の自殺者も
今回の記事を執筆するに当たり、中国の検索サイトで「子ども 自殺」と検索したところ、多くのニュース記事や論説サイトがヒットしました。
もちろん子どもの自殺の原因は学業だけではなくさまざまです。ただし、大半のサイトではやはり勉強のストレスや、教育を巡る親との衝突が主要因として挙げられています。
こうした成人前の自殺者は年齢と共に多くなる傾向はありますが、まだ小学生である8歳や9歳といった子どもの自殺例もよく取り上げられています。中国では自殺する小学生は決して少なくない印象を覚えます。