上海の街並み。現代中国の賃金事情は?

 筆者が上海で記者をしていた頃、上海の会社で働く日本人駐在員から受ける相談は必ずと言っていいほど賃金に関する内容でした。

 製造業は言うに及ばず、比較的従業員が少ないサービス業においても人件費は経営に大きな影響を及ぼします。また、日本と違って中国では直接昇給を訴える従業員が多いため、管理職以上の日本人駐在員にとって、毎年どの程度従業員の給与を上げるべきなのかは共通した悩みでした。

 そこで筆者は今回、中国の過去10年間における平均賃金とその上昇率をまとめてみました。さらに、これまでに出ている2017年度の給与予測と合わせ、中国における今後の賃金動向についてデータを整理しました。

 在中国駐在員はもとより、中国企業と取引のある方、これから中国ビジネスの展開を計画されている方にとっても、現代中国の賃金事情は大いに参考になるのではないかと思います。

平均賃金は10年間で約3倍

 まず、これまでの賃金動向について簡単に解説しましょう。

 上の図は、2006~2015年における中国全土の都市部企業従業員の平均賃金と、インフレ率を除外していない前年比名目賃金上昇率をグラフ化したものです(データは国家統計局調べ。平均賃金の元データはボーナスなどを含む年収額ですが、図では月額で分析するため元データを12分した数字でまとめています)。

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49119