中国・上海。「もうすぐ弾ける」と言われ続けている中国の住宅バブルはいつ弾けるのか?(資料写真)

「中国の住宅バブルはもうすぐ弾ける」──。こうした言葉が聞かれるようになってからもう10年くらい経ちます。日本の書店に行けば、中国経済崩壊論と書かれた書籍が常にズラリと並べられています。

 けれども、少なくとも現時点において中国の住宅バブルが明確に弾けたと言えるような大暴落は確認されていません。

 こうした主張をしている人たちからは、「まだこれからだ」と反駁されるでしょう。しかし厳しい言い方をすれば、それらの主張は「中国経済が悪くなってほしい」という希望が先行し過ぎており、雨が降るまで踊り続ける雨乞いやノストラダムスの終末予言のようなものだと筆者は考えています。加えて、そうした主張の多くには都合の良い部分だけを切り取った一面的な意見も数多く見られます。

 中国の住宅バブルは本当のところはどうなのか? 筆者は現在、中国・上海で働いています。中国の不動産業の専門家でもなければ業界関係者ではありませんが、今回、上海で入手できる情報を基に自分自身で確かめてみることにしました。

価格急騰、住宅購入規制、そして再び急騰

上海の平均住宅成約価格
拡大画像表示

 上のグラフは、中国の不動産仲介業者「安個家」がまとめた2006~2015年における上海市の平均住宅成約価格データを引用し、前年比成長率(=価格上昇率)と合わせグラフ化したものです。

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事のグラフ、表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48291)