11月3日、政府は、南スーダンに派遣している自衛隊のPKO部隊に、安全保障関連法によって可能となった「駆けつけ警護」という新たな任務を15日の閣議で付与することを決めた。
これにより自衛隊は今後、現地で国連職員やNGOなどが危機的状況に陥った場合、現地の自衛隊指揮官の判断で助けに駆けつけることが可能になる。威嚇に加え、人に対する武器の使用も、相手が攻撃してきたときの正当防衛などの場合は可能となる。
条件としては、「自衛隊が安全を確保できるとき」「現地の治安当局や他国部隊よりも速やかに対応できるとき」などが規定される。駆けつけ警護の対象として、他国のPKO部隊に関しては「可能性を排除しないが、想定していない」とのことだ。逆にいえば、現時点で想定はしていないが、状況によってはあり得るということである。
自衛隊はすでにその新任務を想定した訓練を開始しており、20日から派遣される陸上自衛隊第9師団(青森市)が中心となる第11次派遣隊から、その新任務に対応することになる。
この新任務の是非については、国会でもマスメディアでもさまざまな議論が出ている。賛成派・反対派がその是非について議論するのは当然だ。しかし、その議論では多くの場合、異なる3つの問題が、無意識に、そしてときに故意に混同されているようにみえる。
異なる3つの問題とは「法的な是非」「国際的な平和維持活動への参加の是非」「日本人の安全」である。この3つの問題について、いったい何が論点になっているのかをみていきたい。