9月22日、米国ニューヨーク市である演奏会が開かれ、北朝鮮の独裁者、金正恩労働党委員長を賛美する音楽が流れた。米国人の聴衆たちはその意味を知らずに聴きいっていた。
会場はマンハッタンにある「マーキン・コンサートホール」である。演奏会の主役は北朝鮮の「ウレウク交響楽団」だった。ウレウク交響楽団はニューヨークで年に4回ほどの演奏会をもう数年続けている。
米国と北朝鮮との関係は、北側の核兵器開発や人権弾圧のために悪化の一途をたどっている。だが、そんな政治や外交の現実をよそに、この音楽の催しだけは定期的に続けられ、米国の音楽ファンたちの関心を集めてきた。
音楽はプロパガンダの手段
もちろん批判的な声もある。政治的な現実を考えれば、こうした演奏会の開催はもう少し気をつけるべきなのではないか──。今回に関しても、こんな警告を込めて米国の複数の大手新聞が演奏会の実態を報道した。