このところ資産運用の世界で、大きなパラダイムシフトが起こりつつある。長年続いた低金利の時代が終わり、金利上昇が本格化するのではないかとの見方が台頭してきているのだ。
もしこの転換が本物だった場合、個人の資産運用は抜本的な見直しを迫られることになる。金利が上昇し、インフレが進む局面において、銀行預金に依存し過ぎることはリスク要因となる。
そこで今回から3回にわたって、新しい時代を迎えつつある個人の資産運用と、すべてのカギを握る「金利」の動向について論じていきたい。
資産家はなぜわざわざローンを組んで不動産を買うのか
多くの人は「金利」について普段、あまり注意を払っていないかもしれない。銀行の定期預金にお金を預ける時に「こんなに利子が少ないのか」と嘆いたり、逆に住宅ローンを組む際にパンフレットの表示を気にするくらいだろう。
だが資産運用の世界において「金利」ほど重要な指標はない。金利が持つ力をどれだけ活用できるのかで、長期的な資産形成のレベルは天と地ほど変わってくるのだ。その代表的な例が住宅ローンである。