2017年の日本経済は、これまで以上に米国の動向に振り回されることになりそうだ。トランプ次期大統領が掲げる経済政策が実現した場合、日本にとって追い風となる一方、金利の上昇という新しいリスクを抱えることになる。景気が回復しないまま、金利だけが上昇した場合、日銀は極めて難しい対応を迫られることになるだろう。
公約が実現すれば米国経済は加速する
トランプ次期大統領は経済政策に関して2つの大きな公約を掲げている。1つは巨額のインフラ投資、もう1つは大型減税である。
トランプ氏は総額で1兆ドル(約117兆円、民間資金含む)という巨額のインフラ投資を実現するとしており、世界の株式市場はこの数字に強く反応している。投資の期間は10年なので、1年あたりの金額としては1000億ドルということになる。
米国のGDPは18兆ドルの規模があるので、インフラ投資による直接的な効果はプラス0.6%程度である。だが、米国内のインフラは1960年代から70年代にかけて整備されたものが多く、老朽化が進んでいるといわれる。この規模の投資が継続的に実施されれば、古いインフラが刷新され、今後の成長に寄与する可能性が高い。労働者の所得も増加するので消費にポジティブな影響を与える。最終的には需要の増大という形で効果が顕在化してくるだろう。
この動きに拍車をかけるのが大型減税である。トランプ氏は法人税率を35%から15%に引き下げると主張しており、もしこれが実現すれば、米国の税率は国際的に見ても極めて安い水準となる。企業の可処分所得が増え、海外からの資金流入も増えるので、これも投資を拡大させる要因となる。