予想外のことなのか――。
ドナルド・トランプ次期大統領(以下トランプ)が誕生してから、金融市場は好況に沸いている。円相場は対ドルで113円まで円安が進み、米株式市場もダウ平均、ナスダック総合指数ともに過去最高値をつけた。
トランプが勝てばトランプショックが世界を覆い、不況に陥ると予想していた専門家の見立ては見事に外れた。ほとんどの人はトランプ勝利も予想できず、2度にわたって読みが外れたことになる。
そういう筆者も「ヒラリー勝利」を今春から予想し、外した1人である。
個人的なことになるが、スカパーのテレビ番組で9月、「ヒラリーが負けたら坊主になる」と宣言した。投開票日に同じ番組に出演する機会があり、筆者は本番中に有言実行。スタジオに来ていた床屋さんに坊主にしてもらった。
トランプ当選後に株価急騰
それはともかく、金融市場の活況はどうみたらいいのか。来年の米経済はどうなるのか。
トランプの当選直後から、市場の活況は機関投資家による見切り発車的な売買によるものと言わざるを得ない。まだ政権発足前であり、実体経済が伴っていない。1月20日の就任後に反転する可能性がある。
ただトランプ政権になってからの米経済は「意外に悪くないかもしれない」との期待がある。
真っ先に指摘したいのが、ドッド・フランク法の廃棄である。ドッド・フランク法というのは米国がリーマンショック後、金融業界の暴走を食い止めるため、規制を強化するためにできた法律だ。
オバマ政権の遺産だけに、トランプは同法を廃棄すると宣言している。
金融関係者にとっては、もちろん規制が緩和される方が好ましい。手足を伸び伸びと自由に動かせる方が新たな金融商品が生まれやすくなり、市場の値動きも活発になる。連邦議会の上下両院ともに共和党が多数党になったことから、同法の廃棄は現実味を帯びている。