米英語辞典のワード・オブ・ザ・イヤー 「シュール」に

米英語辞典メリアム・ウェブスター〔AFPBB News

辞書を読書する

 私は図鑑・辞書のたぐいを読書することが好きです。思い起こせば、幼稚園の頃、自宅にあった図鑑シリーズとの出会いがその発端だったように思います。

 以来、百科事典、歴史事典などを好んで読みました。その癖は学校の資料集・年表にも及びました。

 辞書を読書するようになったのが中学2年の時です。『小学館 国語大辞典』は広辞苑よりも大判であることが気に入って購入しました。圧倒的な重量感と存在感は一般書籍の読書とは違う感覚があります。

 こうして授業で使用する辞書・資料集・年表も片っ端から時間をかけて読書するようになりました。

 高校2年生の時に創立100周年を迎えた高校で、私は図書委員になりました。理由は閉架図書室に入室するためです。100年前の和綴じ本を「触る」「見る」ことが放課後の楽しみでした。

 図鑑・事典・辞書・資料集・年表といった本を時間をかけて「参照する」「使う」のではなく「読書する」ことが私の読書人生の楽しみの1つでした。はたして、これまでに私の著書・監修本は50タイトルを超えるまでになり、執筆の毎日を送っています。

 そのような私でも教科書は読書対象外でした。私が著者の1人になり平成24年度から使われている高校数学教書『数学活用』(啓林館)は、子供から大人まで読書できる教科書を目指して作られています。

 さて、国語、理科、社会、英語などの教科には教科書のほかにプラスα──辞書・資料集・年表がありますが、数学にはこのプラスαがありません。

 中学・高校時代、教科書と参考書・問題集しかなかった数学。本来、数学は本によって支えられています。日本は一般の書店に数学の専門書がたくさん並ぶ世界でも珍しい国です。

 何度も申し上げているように日本は数学大国です。私も10代に、多くの数学書と出会ったおかげで数学世界に誘われていきました。にもかかわらず学校という数学の現場には、教科書と参考書・問題集しかないのです。

 ということで、普段一般に手に取ることがない数学書を紹介してみようと思います。

『数学公式II 級数・フーリエ解析』(岩波書店)

 今回紹介する数学のプラスα──辞書・資料集・年表の本は公式集です。連載は前回でΣの呪縛を解くシリーズ第5弾になりました。その続きとしてうってつけの公式集を紹介します。

 『数学公式II 級数・フーリエ解析』(岩波書店)です。著書は森口繁一、一松信、宇田川銈久。初刷は1957年と古く、現在出回っているものは1987年の新装版です。

 構成はI 微分積分・平面曲線、II 級数・フーリエ解析、III 特殊函数と分野別3分冊です。Σの公式がII 級数・フーリエ解析の級数部分に相当します。

 岩波書店の紹介ページには次のようにあります。

実用上必須の数学公式を網羅し,座右において使えるように工夫した公式集。多数の公式をそれぞれの型に分類し,検索の便を計ってある。理工系学生・研究者・技術者にすすめる。また,学生の演習にも役立つものとして評価が高い。

 私は上記の目的に「鑑賞」と「読書」をつけ加えたいと思います。

 ビブリオバトル(Bibliobattle、知的書評合戦)をご存じでしょうか。選んだ本の魅力をプレゼンし参加者にどの本が読みたくなったか投票を行い競うものです。

 拙書がビブリオバトルに取り上げられいるようですが、私自身はそれを体験したことがありません。

 でも気分はビブリオバトルです。以下の紹介を読んだ方がこの公式集を読みたくなるようなプレゼンをしたいと思います。