同記事は「プーチン大統領は日本との領土紛争に関する協議でほとんど何も譲歩せず、従来通りの妥協しない交渉スタイルを再度みせつけた」と伝えていた。

 同時にこの記事は、日露関係を専門とする米テンプル大学教授のジェームズ・ブラウン氏の「プーチン氏は安倍氏をうまくあしらった。プーチン氏の方が外交駆け引きでは安倍氏よりすっと経験が多く、巧妙であることを示した」というコメントも報じていた。

「ワシントン・ポスト」も12月17日付の東京発の記事で、「この会談はプーチン大統領の明らかな勝利だった」と報じた。記事では、プーチン大統領が北方領土の共同経済開発の名の下に日本側から投資や融資などの経済利益を得ることに成功し、その一方で、領土問題に関しては少しも譲歩しなかった点を指摘していた。

 さらに「安倍首相は北方領土4島のうちせめて2島だけでも返還の見通しをつけようと努力してきたが、今回の会談で成功することはできなかった」とも記していた。

 その理由としては、ロシア側が従来の「領土紛争は存在しない」という態度をまったく変えず、両首脳が合意した北方領土での「共同経済活動」や「特別な制度」についても「ロシア側がロシアの主権と法律の適用を前提とする方針を言明しており、共同経済活動の実現は、この領土に対するロシア側の主権の認知につながりかねない」という点を強調していた。