“衝撃”のゲノム編集、作物は食卓に並ぶのか?

「新しい育種技術」の可能性と課題(前篇)

2016.12.16(Fri)漆原 次郎

立川 ゲノム編集作物は遺伝子組換え作物と違って、従来の育種の延長線上で議論されているところは多いとは思います。これは最終的に得られる作物に外来の遺伝子が組み込まれていないこと、また時間さえかければ、従来育種を用いても同じものが得られると考えられているためです。

 社会的影響が大きいと考えるか、そして、不確実性が高いと考えるか。どちらも高ければ、市民にとって大きな問題となりますから、市民も議論に参加する形になるのが望ましいといえます。

 いまは、新たなツールが出始めた段階です。このツールが社会でどのように使われていくかは、これから決まっていきます。影響がどの程度あるのかについても、未知数なところがまだあります。

 少なくとも、育種の方法が相当に変わってきているということは認識しておいてよいと思います。

――新たな技術を巡っては、ニュースなどに敏感でない限り、「こんなことが進んでいたとは」と後になって気づかされる場合が多い気がします。

立川 従来の育種技術であっても、新しい育種技術であっても、それらは基本的に生命科学の技術が蓄積してきた結果としてあるものです。たとえば、ゲノム編集という効率的なツールは、その技術だけで機能するのではなく、バイオインフォマティクス(生命情報学)などによるゲノム解析技術が蓄積されたことで成立しているものです。

 そうした育種技術の今日的な姿に対しては、多くの人々が知識を持つということは望ましいことであるとは思います。

遺伝子組換えの枠組みに含めるのかが焦点

――NBTについて、各国の規制を巡る動きはどうなっているのでしょうか。

立川 NBTを用いて作出した生物の規制上の位置づけについては、各国で検討がなされているとともに、経済協力開発機構(OECD)などの場でも国際的に議論されており、定まってはいません。

――今後、どのような点がポイントになるでしょうか。

立川 先にお話したように、既存の遺伝子組換えなどの制度的枠組みとの関連性が重要になります。各国のNBTの検討状況を見てみると、規制について対極ともいえる行政対応をとる国が現れつつあるのです。

後篇へ続く)

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