マラウイ湖(筆者撮影、以下同)

 夏の終わりの穏やかな午後、マラウイ共和国の首都リロングウェで裁判所傍聴に行った。それはそれはゆるやかな、日本昔話のような裁判所であった。

 マラウイという国は南北に細くのびたマラウイ湖のほとりに陸地がドーナツ型に広がった、滋賀県的な国といってもよく、湖に沿って南下していくと気候が涼しくなり、湖から離れて内陸に入っていくと土地が乾いてくるというような、微細な変化がなんとなく感じられる(気がする)。そのままさらに内陸に入ると、隣国ザンビアの大平原に突っ込むことになる。

印の付いた場所がマラウイの首都、リロングウェ(Googleマップ)
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 特に見どころもないので、私はマラウイ湖のほとりで数日のんびりした後、のんびり気分をひきずって、首都リロングウェに向かった。

 リロングウェは湖の西岸から内陸に入ったところにあり、空気は乾き始めて、街路は土埃でカサカサと音を立てていた。それは気候が変わってきたせいもあるだろう。しかし、多くの人や車が足早に行き過ぎているという、町の特性のせいであるようにも見えた。アフリカの首都は、田舎と異なり、どこも未来を目指して足早に駆けていた。

 とにかくその日、私がテントを張った安宿は、裁判所にほど近く、私は惰性で続けてきたアフリカ裁判所巡りをここでも遂行しようという気持ちになって、裁判所に足を運んだ。