4回目となるFONOPを実施したアメリカ海軍イージス駆逐艦ディケーター(出所:Wikipedia

 10月21日、アメリカ海軍イージス駆逐艦ディケーターが南シナ海西沙諸島の永興島(ウッディー島)とトリトン島(中建島)それぞれの沿海域を航行して「航行自由原則維持のための作戦」(FONOP)を実施した。

5カ月ぶりに実施された4回目のFONOP

 今回のディケーターによるFONOPは、オバマ政権がようやくゴーサインを出して2015年10月27日に行われた第1回「南シナ海でのFONOP」以来、4回目のFONOPとなる(なお、アメリカは南シナ海だけでなく世界中の海でFONOPを実施している。本稿での「FONOP」は南シナ海で実施されたFONOPを意味する)。

 第1回目のFONOPでは、イージス駆逐艦ラッセンが、中国が人工島を築き3000メートル級滑走路を建設していた南沙諸島スービ礁の沿岸から12海里内海域を通航した(現在、スービ礁の滑走路はすでに完成している)。

 それからおよそ3カ月後の2016年1月30日、西沙諸島のトリトン島12海里内海域で、イージス駆逐艦カーティス・ウィルバーによって第2回目のFONOPが実施された。その後、中国は、西沙諸島が多大な軍事的脅威を被ったとして、地対艦ミサイルや地対空ミサイルをトリトン島などに配備した。

 再び3カ月と10日が経った5月10日、イージス駆逐艦ウィリアムPローレンスが南沙諸島のファイアリークロス礁沿岸12海里内海域を通航して、第3回目のFONOPを行った。スービ礁同様にファイアリークロス礁も中国が暗礁を埋め立てて誕生させた南沙人工島の1つで、やはり3000メートル級滑走路や大型艦船が使用できる港湾設備も建設されている。