長かった米国の大統領選挙キャンペーンも、ついに残り2週間というところまでたどり着いた。
今回の大統領選はこれまでの選挙戦と比べて異例の出来事が多かったが、中でも“異常”な事態と言えるのは、なんといっても政治歴がまったくなく、放言・暴言をまき散らすドナルド・トランプ氏の共和党候補の指名獲得である。この「トランプ現象」こそ、今回の大統領選の最大の特徴だろう。
トランプ現象が米国で引き起こした大きな変化の1つは、共和党主流の組織や政治家たちを根こそぎ崩してしまったことである。そして、もう1つは、トランプ候補の言動が、これまで共和党が掲げてきた保守主義の旗をすっかりくすませてしまったことだろう。
これまでのどの大統領選挙でも共和党候補が高らかに宣言してきた保守主義の主張がはるか彼方に後退してしまったのだ。