中国は他国と論争する際に「屈辱の世紀」という言葉をよく使う。清朝時代から西欧列強や日本に侵略されてきたという100年ほどの時代を指す言葉である。
中国はこの言葉を使って、いかに自国が帝国主義の犠牲者であったかを強調し、「だからこそ現在も犠牲者としての特権がある」と主張する。最近、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所から南シナ海での領有権主張を否定された際も、この「犠牲者カード」を使って反論した。
だが外部からみれば、中国の「犠牲者カード」は過去の歴史を都合よく持ち出して、現在の無法な行動を正当化する狡猾な心理戦にしか映らない。
いまだに外交で犠牲者カードを利用する中国の心理戦に対して、最近、米国の研究者が「中国に全面的に反論すべきだ」という内容の論文を発表した。米国は中国を侵略して搾取するどころか、逆に中国の近代化に大きな貢献をしてきたという。対中論争の手引きとして、日本にとっても大いに参考になり得る内容である。
中国の近代化や国際化を最も支援してきたのは米国
この論文は、米国議会調査局の中国専門官として長年活動してきたシャーリー・カン女史によって執筆され、ワシントンの外交関係者の間で広く読まれる外交政策雑誌「ザ・ディプロマット」10月号に掲載された。論文の題名は「中国の心理戦争に反撃する」である。