写真1 東名高速・用宗高架橋のリニューアル工事の様子(写真:NEXCO中日本)

 インフラの老朽化が日本の大きな問題になっている。高度経済成長期に整備された道路、橋、上下水道、発電所などのインフラが耐用年数を迎え、目に見える形で劣化が進んでいるのだ。

 日本の大動脈である高速道路も、まさにその問題に直面している。建設から約半世紀を迎えた高速道路は老朽化が進み、抜本的なメンテナンスやリニューアルが必要な時期にさしかかってきた。

 そうした状況の中、この5月にNEXCO中日本は東名高速、中央自動車道、北陸自動車道の大規模なリニューアル工事を開始した。橋梁の床版(しょうばん)の取り換え、防水加工、トンネルの変形やひび割れを防ぐインバート(補強のための底板)設置、道路わきの土手などを補強するグラウンドアンカーの施工といった工事を順次行っていく。総工事費は1兆円、工事期間は15年という一大リニューアルプロジェクトである。

 工事は、東名高速・静岡IC~焼津IC区間にある用宗高架橋(もちむねこうかきょう)からスタートした。老朽化している鉄筋コンクリート床版を道路から引きはがし、新しい床版に取り換える大掛かりな工事だ(写真1)。

 日本の高速道路はどういう状況になっているのか、なぜいま大規模なリニューアル工事に着手するのか。中日本高速道路 東京支社 静岡保全・サービスセンターの石橋善明 所長、竹沢正文 更新工事担当課長に話を聞いた(写真2)。

写真2 中日本高速道路東京支社 静岡保全・サービスセンターの石橋所長(右)と竹沢更新工事担当課長

建設時に想定していなかったこととは

──今、日本の高速道路はどういう状況なのでしょうか。