韓国の経済副首相兼企画財政相に内定している柳一鎬・前国土交通相が、金融危機に備えて緊急時に外貨を融通し合う通貨交換(スワップ)協定を再び日本と締結することについて「考える価値はある」、と国会の人事聴聞会で述べたことが明らかになった(「産経新聞」平成28年1月14日付)。
“やはり”と言うか、“また”と言うか、「開いた口が塞がらない」というのは韓国のこうした姿勢である。
先のスワップ協定の幕切れが喧嘩を売られた形で終わった感じであっただけに感情的にはノーである。しかし、国家は個人と違って理性的な行動が必要であり、国益や安全保障などの国際情勢を考えて行動しなければならない。
韓国経済の実態
2015年11月、韓国メディアはIMF(国際通貨基金)が発表した「世界経済見通し」のデータをもとに、「2020年には韓国の1人当たりのGDP(国内総生産)が日本と同水準になる」と報じた。
『SAPIO』(2016年2月号)掲載の三橋貴明氏によると、GDP成長率は韓国の方が高いので、ウォン高・円安が続けばドル・ベースの1人当たりGDPは韓国が高くなる可能性すらあるが、それは韓国国民が豊かになったことを意味しないという。
韓国経済は国民をできるだけ安い賃金で働かせ、グローバルな価格競争力を高めるという成長モデルを採用しているためだ。
財閥が成長してGDPを押し上げるが労働者の賃金は安く抑えられるので、成長と貧困が同居する構造で、大半の韓国国民は日本国民より貧しいままという事態が容易に想像できるという。
1997年の経済破綻以降、外資占有率が異常に高い国になり、サムスンでも54%だと言われる。銀行は第一銀行の100%をはじめ、韓美銀行99.9%、国民銀行85.7%など8割以上が外資で、韓国企業と言うよりも外国企業と言った方がふさわしい状況で、利益の大部分は外国へ持ち去られる構造である。
そうした中で、サムスンの李健熙会長が2014年に受け取った配当金は185億円だったのに対し、過去1年間に「貧困のため、食料が買えなかった経験」をした韓国人の割合は26%(ちなみに日本は2%)もあったそうである。
「一将功成りて万骨枯る」という諺があるが、正しく韓国における財閥と国民の関係に当てはまる。天地の差ほどの開きと言うよりも、ずばり天国と地獄という表現がふさわしいのではないだろうか。
いまの韓国経済の状況はアジア通貨危機の時よりひどいそうで、先取りの危機管理であろうか、サムソンが企業の整理・縮小を始めたとも言われている。