外交関係に関するウィーン条約では大使館の業務を妨害してはならないとしていることに鑑みると、日本大使館前に慰安婦像があることは許されないと思うが、韓国政府は民間が建てたもので、政府は手が出せないという。

 少なくも朴大統領が日本非難を声高に叫び、告げ口外交をしてきたことが大きな要因で、像や碑の世界的な広がりにつながった。市民団体は「最終的かつ不可逆的な解決」に反対し、今後も慰安婦像の設置を進めると公言している。

 この点から、日本の名誉回復のためには韓国政府が主導して、世界に設置されてきた慰安婦像や碑の撤去、あるいは碑文から「日本軍」「17歳の少女」「20万人の性奴隷」などの事実と異なる文言を削除することである。

 1998年の金融危機で韓国がIMFの管理下に入り、スワップ限度枠も拡大されてきた。しかし、日韓が険悪化し、一方で中韓が歴史認識で共闘し、どんどん中韓が接近し協力してくれるようになってくると、期限が近づいてきたスワップ延長を韓国は望んでいないという態度を示すようになった。

 そればかりか、拡大してきた枠はいかにも日本が押しつけたかのような発言さえ聞かれた。

おわりに

 ざっくり言えば、大統領自らが日韓基本条約や請求権協定を破る言動で国民を煽動して、韓国をはじめ、米国やその他の国における慰安婦像や碑を増殖させてきた。こうした韓国側の姿勢は日本の尊厳を汚し、日本人の名誉を傷つけ受け入れ難いものである。

 韓国が「ゴールポストを動かさない」姿勢を堅持しなければ、慰安婦問題同様に今後も同じことが繰り返されよう。

 富岡製糸工場などの世界遺産登録でも、事前の外相会談で「強制労働」はなかったことが確認されたが、韓国側は反故にしようとする動きを示し決定が延ばされた苦い経験があった。

 慰安婦問題や世界遺産問題ばかりではなく、すべてにおいて「ゴールポストを動かす」韓国である。スワップ問題でも、「日本が押しつけた」みたいな啖呵は何だったのかと韓国に問うことから始めなければ、日本の名誉は棄損されたままである。