こうしたことから、柳氏発言の意味が理解できる。具体的な統計を見ると、韓国経済の実態がより鮮明になる。
閨閥や学歴が物言う社会であり、大学進学率は80%(日本は54%)であるが就職先はなく、2011年のニートは100万人とも言われ、日本の4倍近い状態であった。就職しても半数が非正規雇用で、4人に3人が出国希望であるとも言われる。
2013年の自殺率は世界保健機構の統計によると、10万人当たり韓国は29.1(高齢者は81.9)で、OECD(経済協力開発機構)で11年連続1位という不名誉な座を維持している。
人口4800万人の韓国で、1万5000人前後の自殺者である(ちなみに人口1億2654万人の日本は18.7で、2万5000人前後である)。
皺寄せは高齢者へ
韓国の試練は間もなく始まる高齢化社会(65歳以上が人口比率で14%)であり、柳氏はそれを見越した発言をしたものと受け止めることができる。
日本では13年かかって超高齢化社会(65歳以上が人口比率で21%超)に移行したが、韓国では7年後の2026年に迎えると予測されている。
短期間で高度成長とした韓国では年金制度の整備などが追いついていないこともあり、日本では予想もされなかった問題(熟年離婚・高齢者犯罪・自殺率)が津波のように押し寄せてくるとみられる。
儒教の国・韓国では親の面倒は長男がみる国だとみられてきたが、今日ではそうした考えは該当しないようだ。漢江の奇跡をもたらした世代が高齢化した今日、この老人たちの生活は惨めそのもののようである。
ノンフィクションライターの高槻靖氏によると、老齢年金受給者の平均月額は33万ウォン(3.5万円)で、受給者の半分以上が25万ウォン(2.7万円)との報道も。
韓国の最低生活費は月63万ウォン(6.7万円)とも言われるので、年金だけでは生活できない。年金月額については約10万ウォン(約1.03万円)との言もある。
65歳以上の貧困率が最も高い国が韓国で49.6%、これもOECD加盟国中で1位である。逆に言えば、OECD加盟国の中で老人所得が最も低い国で、ほぼ2人に1人が貧困にあえいでいるという姿が浮かんでくる。