経済の失速に歯止めがかからない中国で、2016年の最大の課題となりそうなのが住宅在庫の処理だ。
1級都市を中心とする沿海部のいくつかの大都市では活発な住宅需要が見られるが、規模の小さい3~4級都市ではすっかり停滞している。
積み上がる住宅在庫は国家統計局の数字を見ても明らかだ。昨年(2015年)11月末、分譲住宅の在庫は6億9637平米に達した。2014年同期における分譲住宅の在庫は5億9695万平米だったから、この1年で在庫は約1億平米も増えたことになる。昨年9月末からの1カ月間には2122万平米が増え、過去最高の増加数を記録した。
こうした状況に対し、中央政府は強い危機感を抱いている。昨年末に翌年の経済政策の方向性を決める「中央経済工作会議」が開かれたが、この会議で初めて住宅の在庫問題が取り上げられた。
政府は、どのようにして在庫処理を進めるのか? 会議で出た“妙案”というのが、「農民に買わせる」というものだ。