まだ、おおらかさが残っていた私の子ども時代。主な遊び場は、近所の小さい川。魚を釣り、川エビをすくい、水遊びをしてよく遊びました。
そんなある日の夕方、川原で背丈以上のすすきが生い茂っていた場所を偶然にも発見。周囲の目が届かないことから、自分たちだけの秘密基地をつくろうと盛り上がりました。
もちろん、この川原には学年が上の子たちも遊びにくるわけです。その場所が、見つかってしまうのではないか、と翌日の授業中は、そわそわして落ち着かなかったことを覚えています。
そう、楽しそうなことを思いつくと、ワクワクしながら、誰よりも早く始めてみたくなるのは、子どもも大人も変わらないもの。
それが、世界を変える可能性を秘めていれば、なおさらです。
自分を信じる強さを持ち続ける
『謎の会社、世界を変える。エニグモの挑戦』(須田将啓・田中禎人著、ミシマ社)
博報堂の同僚だった、須田氏と田中氏。冒頭は、2人がお互いに胸に秘めたビジネスプランを持ち合うシーンから始まります。
そのプランを結実したのが「BuyMa(バイマ)」。新しいタイプのインターネット個人売買サイトです。
現在のように、生活の隅々までインターネットが普及していなかった当時でしたが、2人は、バイマの可能性を信じ、すぐに起業します。当初は、業務を依頼した会社に夜逃げをされたり、バイマの会員が予想を下回ったりと、平穏な道のりではありませんでした。
しかし、2人の真っ直ぐな熱意に親和するかのように、優れた人材が集まり出し、またバイマの会員数も右肩上がりに。そして、新しいサービスが次々と生まれて行きます。