給食費未納問題の対策として、政府は、未納があった場合に児童手当から強制的に天引きすることを検討し始めた。学年や地域によって若干の差はあるものの、小学校の給食費の平均月額は約4000円強(下の表参照)。世帯所得によっては、給食費が負担になっている家庭もあるだろう。ただし昨今問題となっている「未納」は、払えるのに払わないという「意思のある未納」である。
2012年度の文部科学省による学校給食費の徴収状況調査で、全国の学校給食(完全給食)を実施している公立小・中学校(約2万9000校)のうち583校を抽出したところ、そのうち271校(約46.5%)において未納者が存在していた。
みんなが一緒に食べる給食の意味は大きい。戦後においては、不足しがちな栄養摂取の側面があったが、現代ではみんなが共に揃って食べる「共食」としての食育の役割も大きくなっている。
我が国の学校給食の歴史を紐解けば、1889(明治22)年に山形県鶴岡市の私立小学校で提供された、貧困児童を対象とした無料の給食が始まりとされる。その後、児童の栄養改善や戦後のユニセフによるミルク(脱脂粉乳)による給食を経て、1949(昭和29)年に学校給食法が施行され、現在のような学校給食の体制が整ったのである。