特にメコン圏の国境物流に詳しい同社ロジスティクス・ソリューション事業本部国際物流推進部の福田規保マネージャーは、「ヤンゴン港に降ろされた輸入品を海上コンテナのままマンダレーまで運び、そこから国内に運搬する体制が確立されれば、これまで各国それぞれの法規や慣習に基づく一国物流が基本だったインドシナ諸国の物流も変わっていくはず」だと話す。

 肝心の実験結果は、ヤンゴン~マンダレー間の所要時間は、行きが33.5時間、帰りが26.5時間であった。行きの方が時間を要したのは、出発が遅れ、旅客車両を優先させるための待機時間が予想以上にとられてしまったためだという。

 しかし、心配された振動の大きさについては、問題ないとの結果が出た。

 福田氏は、「一般的に揺れの大きさが5G(重力加速度)を超えると機械品は運搬できないと言われているが、今回の結果は最大でも1.2Gを下回っている」とした上で、JICAが現在実施している線路補修の技術協力プロジェクト(第4回5回参照)に対しても、「保線の技術移転が進めば、振動の揺れもさらに小さくなりスピードも上がるはず」と期待を寄せる。

“ガラパゴス”、転じて強みに

 今年3月、日本中が北陸新幹線の開業に湧く一方で、JR西日本の運行するトワイライト・エクスプレスやJR東日本の北斗星が、ダイヤ改正に伴って相次いで姿を消し、多くの鉄道ファンが2本の豪華寝台特急列車の名残を惜しんだ。

 再来年の北海道新幹線開通に向け試験運転が本格化していることによるものだが、実はこの決定が、国内の鉄道ファンたちにとって大きなニュースであっただけでなく、日本の鉄道技術にとっても大きな転機となる出来事であることをご存知だろうか。

 実は、今回の再編は、客車が今後、すべて電車かディーゼル燃料で自走する気動車に置き換わり、機関車でけん引されるのは貨物列車だけになったことを意味している。今後、鉄道事業各社は機関車の維持管理からどんどん手を引いていくだろうと言われている。

 しかし、その一方で、海外に目を向けてみると、機関車で貨車や客車を引っ張るタイプの列車がまだまだ各国で多く使われており、機関車のニーズは依然として高い。

カントリークレーンからヤンゴン港のコンテナヤードを一望する(筆者撮影)
ヤンゴン港に荷揚げされたコンテナをクレーンで積み込む(写真提供:JR貨物)