現場OJTでは朝と昼、作業前に必ず整列して点呼や手順の確認が行われる(筆者撮影、以下特記のないものは同様)

経済成長の影で

 人口の急増と都市の急拡大に伴い、日々、電力需要が高まっているミャンマーの最大都市ヤンゴン。

 だが、市内の電力事情は決して良くない。昨年11月6日、満月のお祭りを祝っていたこの街に熱帯低気圧が接近。レーダン交差点の北側では、突風に煽られた電柱が約50本、根こそぎ倒され、市内は約6時間にわたり停電した。

 施工不良や配電設備の老朽化による痛ましい事故も多い。ヤンゴン管区警察の発表によると、市内のマーケット付近では、絶縁体が巻かれていない裸電線が切れて雨に濡れた地面に落下し、路上の露店商や周囲の人が感電死するケースが年に100件以上発生しているという。

 経済活動や産業の振興の前提となる、電力。ヤンゴン~マンダレーを結ぶ鉄道の近代化に向けた詳細設計調査で信号の現地調査を行った際も、日本コンサルタンツ(JIC)に所属する電力専門家の和木浩さんが「周囲の集落をはじめ地域全体が電化されていない中で、遠方の発電所から中継所を経由して送電し信号を作動させるのはロスが大きい」と頭を抱えていた(第10回参照)。

 電力不足と劣悪な送配電の改善がこの国の今後の発展にとって不可欠であるのは言うまでもない。