無人機革命、成長余地大きいが問題山積

独北部ノルデン・ノルトダイヒから北海沖のユースト島へ向けて薬を運ぶ国際流通大手ドイツポストDHLの無人機〔AFPBB News

 ドローン――。

 日本の首相官邸の屋上に落下した頃から、急速に注目度が増している。5月20日から22日まで千葉県の幕張メッセで第1回国際ドローン展が開かれたこともあり、関心は高まる一方だ。

 米国はドローンの先進国と思われているが、世界をリードしているのは商業用ではなく軍事用の分野で、無人攻撃機「プレデター」は世界に名が通っている。

 米政府はアフガニスタンやイラクから地上軍を撤退させながらも、ドローンによる攻撃をいまでも続けている。しかも国防総省(ペンタゴン)だけでなく、中央情報局(CIA)もドローンを使用している事実が明らかになった。

 アフガニスタンだけでも過去5年で1000回以上の爆撃を行っている(「テロリスト量産装置と化した米軍のドローン」)。

法整備が遅れている米国

 米国で商業用のドローンの運用が遅れているのは、法整備がオーストラリアやカナダといった「ドローン先進国」と比べると後手に回っているからだ。

 米国では今年2月14日、ドローンの飛行を管轄する米連邦航空局(FAA)がやっと本格的な規制案を発表したばかりである。今後は規制案が連邦議会で審議されていくことになるが、法律が施行されるのは2016年か17年になる見通しだ。

 2月に発表された規制案を読むと、飛行高度の上限は500フィート(約152メートル)で、飛行速度は時速100マイル(約160キロ)と記されている。機体の重さは55ポンド(約25キロ)までで、視界の利く日中に限って飛行を許可するという限定的なものだ。

 さらに操縦者は17歳以上で、連邦政府が認めた飛行テストの合格者だけとの条件がついている。落下事故を憂慮し、かなり厳しい規制内容だ。そのためドローンの利用者からは「手足を縛られたようなもの。満足に操縦を楽しめない」との批判も出ている。