ヒラリー・クリントン前国務長官(以下ヒラリー)が4月12日(米時間)、2016年大統領選挙に正式に出馬表明した。
著名な投資家ウォーレン・バフェット氏は14年10月の講演会で、「ヒラリーが勝つよ。賭けてもいい」と述べたが、2016年11月の投票日までは1年半以上もある。本当に勝つかどうかはわからないが、カネ(選挙資金)という観点ではバフェット氏の予想が当たるようにも思える。
ヒラリーはどうやって多額のカネを集めるのか。集金術を探る前に、出馬にあたっての周辺事情を少し記したい。
前回(2008年)の大統領選で、バラク・オバマ候補(当時)に破れた直後、ヒラリーは米メディアに次のように語っていた。
「こんな(長丁場で疲れる選挙)はもう二度としたくない」
米国初の女性大統領
本音だろうと思う。時間とエネルギー、資金を使い切った末に破れたのである。文字通り、全身全霊を懸けて戦った後での敗北だけに、悔しさよりも疲労感の方が勝っていたかもしれない。
当時、記者たちからもう一度出馬するかを問われると「いまは考えていない」と正直に答えていた。
オバマ政権で国務長官を4年間務めた直後の2013年春、同じことを聞かれ、「私のことだから、周囲が推してくれたらどうなるか分からない」と態度を軟化させている。