ご飯離れでも、なぜかふりかけ市場は拡大の謎

“ご飯のお供”のたどる道(後篇)

2015.04.17(Fri)漆原 次郎

 新機軸を打ち出したのが1989(平成元)年だ。いまも続く「おとなのふりかけ」の発売である。この商品の開発には、開発担当者の“気づき”があった。消費者データを見ていると、11歳までの子供にはふりかけは100%食べられているが、12歳から急に需要が減っている。ふりかけは子供の食べものという概念が消費者に広がっていたのだ。

「おとなのふりかけ本かつお」。大袋の中に5袋が入っている。小分けにするのは主に海苔の新鮮さを保つため。他に5種類が4袋ずつ入った「おとなのふりかけミニ」なども (画像提供:永谷園)

「そこで、大人にも満足してもらえる高品質のふりかけを開発しようということになりました。当時すでに少子高齢化も懸念されていて、ふりかけ市場が先細るという懸念もありました」

「おとなのふりかけ」もそうだが、同社は海苔の品質に力を入れている。多くのふりかけメーカーは問屋が卸した海苔を使っているが、同社は1967(昭和42)年に乾海苔の入札権を取得し、全国の生産地から海苔を直接、買い付けている。焼色が深緑で風味があることなどが海苔の選定のポイントという。

旨味成分が顆粒にてんこもり

 松山氏は「商品開発には、いろいろなアプローチの仕方があります」と話す。例えば、上記の「おとなのふりかけ」では、「大人向けのふりかけ」というコンセプトありきで、原料にこだわり、デザインも渋めのものにした。

「一方こちらは、これまで実現できなかった本格的な味わいを実現するというコンセプトで考えた末に作られました」。そう言って松山氏が示したのが、2013年の新商品「超ふりかけ」だ。

 商品名に「超」が付くからには、これまでの商品を“超えるなにか”があると思わずにはいられない。そう思いながら「超ふりかけ うなぎ」のパッケージを開けると、すぐ高い香りが鼻へと届いた。ふつうのふりかけのパッケージを開けたときとは明らかに香り方が異なる。そして、このふりかけを口にすると、歯ざわりがコーンフレークを噛んだときのようにさくさくしている。

「これまでのふりかけは、どうしても本物の食材の“もどき”にしかなれませんでした。でも、『超ふりかけ』ではもっと食材の本物感を出したい。いろいろ製法を検討して、たどり着いたのが、スチームオーブン製法でした」

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る