昼飯どき、手頃な価格の定食屋などで「ご飯付き」のセットを頼むと、「ふりかけ」が添えられてくることがある。ほかのおかずでご飯を食べることはできるけれど、「せっかくだから」と、ついふりかけに手が出る。途中までおかずで食べてから残ったご飯にふりかけをかける。
白いご飯も美味しい。けれど、そこに、ふりかけをささっとかけるだけで、その白いご飯の美味しさに、うまみ、香ばしさ、歯ざわり感が加わり「ふりかけご飯」の風味に一変する。
ご飯を主食としてきた日本人は、さまざまな食べものをその“お供”にしてきた。ふりかけは “お供”にまさにふさわしい存在と言えよう。ふりかけそのものを食べることはまずなく、常にご飯などの主食とともに食べるのだから。
今回は日本人のご飯のお供「ふりかけ」を主題に、その歴史と現代技術を前後篇でたどっていく。前篇では、ふりかけのルーツを探る。日本人はご飯になにをふりかけてきたのか。そして、いま見られるようなふりかけ商品の源流はどこにあるのか、歴史を見ていきたい。後篇では、ご飯の消費量が減っていく中で気を吐くふりかけメーカーに取材し、新製品開発の秘密に迫ってみたい。
源流にある「楚割(すわやり)」「花鰹」「ごま塩」
「ふりかけ」という言葉が「ふりかける」から生まれたのは自明のことだろう。とすると、ご飯の上にふりかけるたいていのものは「ふりかけ」の範疇に入れることができる。ただし、単に「かける」だと、「お湯をかける」や「卵をかける」なども入ってきてしまうので「ふりかけ」とは分けておきたい。