小沢一郎・前民主党幹事長がついに立ち上がった。「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない」という憲法75条を盾に、検察審議会からの訴追を逃れるためだとか、大臣や副大臣、民主党の役員人事を巡って菅直人首相と折り合いがつかなかったとか、世間は突然の代表選出馬の理由をあれこれ詮索している。

日本の首相の任期は1年から半年へ?

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 もし小沢氏が民主党の党首となり首相に指名されれば、菅首相の在任期間は半年にも満たない超短命政権となり、自民党時代から続いている「日本の首相任期は1年未満」という世界的な恥さらし状況に、さらに輪をかけることになる。

 しかし、この際、世界から笑いものになったとしても我慢するしかないのではないか。今は見栄を張っているような日本の状況ではない。

 とにかく、成長戦略を明確に示して、与野党で合意しその実行をきちんとタイムテーブルに載せて国民に示さなければならない。

 そのためには、たとえ劇薬であっても小沢氏が首相になって、政界大再編を行うという選択肢もあるのではないだろうか。調整型のリーダーではこの難局は乗り切れない。

 英エコノミスト誌は、日本がきちんとした改革に手をつけられなければ、「3度目の失われた10年を迎えることになるだろう」と書いている。

 バブルが弾けて20年。バブルの後始末に10年以上を費やし、その後、景気は回復に向かったものの消費税問題をきっかけに、日本経済はさらなる10年の暗いトンネルに入り込むことになってしまった。

 そして、政権交代を高らかに掲げて登場した民主党政権は、本格的な改革に着手するにはほど遠く、むしろバラマキで人気取りに走っているようにしか思えない。

失われた10年を3回も繰り返す愚

 1995年に1ドル79円台の超円高を経験したが、政府が無為無策のままでは、あっけなく79円を超えて円高が進む危険性がある。そして、日本経済はエコノミスト誌が予言する3回目の失われた10年に突入してしまう。

 なぜなら、この20年間、低成長にあえいできた日本経済は、何も変わっていないように見えて実は大きな変化を遂げているのだ。製造業は次々と生産拠点を海外に作り、この間、日本の人事制度も大きく変わった。

 終身雇用と年功序列に守られ、企業に忠誠を誓った「企業戦士」あるいは「社畜」と呼ばれた社員はもう完全にいなくなった。日本企業が実施する社員教育や研修費は、欧米諸国に比べて半分以下。企業と社員の関わりは欧米以上にドライになりつつある。