中国経済は一貫して過熱しがちな状態にある。中国政府は、金融危機にもかかわらず2009年の経済成長の目標を8%と掲げた。結果は、目標を上回る8.7%の成長だった。その勢いはさらに加速し、2010年の第1四半期が11.9%、第2四半期が10.3%と2桁成長が続いている。
実際の経済成長は、こうした公式統計が示す経済成長よりももっと早いスピードのようだ。
中国国内の報道によると、各地方政府が発表した経済成長率は、ほとんど全国平均を上回っていると言われている。地方政府の発表の方が中央政府よりも信憑性が高い、というわけではないが、地方政府が競って高い経済成長を目指しているのは確かである。地方政府の幹部は、自らの業績が評価されるように、少しでも高い成長を目指そうとする。
実は、中国人は全国一になるだけでなく、何でも世界一になることを好む。中国人のこのような上昇志向こそが経済成長率を大きく押し上げている。
2年前の北京五輪も、現在開催されている上海万博も、史上最大の規模を記録し、当分の間、それが突破されることはないだろう。
しかし、ここで問われるべきなのは、経済成長のスピードと国際イベントの規模をいかに最適化するかである。
何をするにしても「世界一」を求める中国人
中国人はなぜこれほど世界一になることを求めるのだろうか。
おそらく、過去100年の間、列強に侵略されたことに対する反動が大きい。また、社会主義国になってから、共産党が社会主義の優位性を学校教育の中で繰り返し取り上げ、国民に教え込んできた結果でもある。さらに、連日の報道も国民の競争心を掻き立てている。
本来ならば、万博は新しい科学技術や生活理念を伝える国際イベントだが、メディアは入場者数ばかりを報道し、もっぱら目標の7000万人に達することができるかどうかが焦点になっている。これは、日本のメディアが毎週のように内閣支持率を調査し、発表するのとどこか似ている。
しかし、問題はその中身である。経済成長についても同じだ。温家宝首相は一貫して「重複投資が経済の非効率性をもたらす」として、抑制しなければならないと主張するが、地方政府は地域経済を活性化させるため、重複投資に目をつぶる。むしろ、重複投資を積極的に進めようとする地方政府が少なくない。
今年に入って、日本の東北新幹線に相当する高速鉄道に加え、「のぞみ」に匹敵する高速鉄道も、武漢~広州、上海~南京の間で開通した。時速は最高で350キロに達すると言われている。交通インフラの整備は、間違いなく経済成長率を押し上げる効果がある。しかし、インフラ整備のスピードも最適化する必要があると思われる。