外資系では海外で通用するグローバルな人材を輩出している。では、外資系の能力開発はどのようになっているのだろうか。
能力開発はビジネスのための必要コスト
日系企業では厳しいコスト削減の結果、研修などのトレーニングの機会がかなり減ってしまった。能力開発はすぐ効果が出るわけでないので、コスト削減の餌食になりやすい。
一方、外資系では、やはり業績によって左右されるものの、能力開発のためのプログラムがなくなってしまうことはない。人材、特に次世代のリーダーこそがビジネスを継続的に成功させるカギだからだ。
期待される人材に対しては、本社での集中的な研修や、専門知識を高めるトレーニングが行われる。郊外のトレーニングセンターで1~2週間合宿して、社内外の重要な人から話を聞いたり、ディスカッションをしたりする。
ただし、こうした教室内のトレーニングは何らかのヒントや知識を身につけるのに役立つが、本当の実力はビジネスの経験を通じてしか身につかない。能力開発の20%は知識からで、残りの80%は経験からだ。
能力開発のためには、現在の能力やこれまでの経験を少し超えたチャレンジングな仕事をさせてもらえることが一番と言える。
懐の広さと失敗に対する許容度が違う
チャレンジングな仕事をするという意味では、日系でも外資系でも変わりがないと思われるかもしれない。でも、2つの重要な違いがある。1つは、能力開発のために仕事を与える懐の広さだろう。
仕事でグローバルに活躍するためには、異なる文化、環境の下でも仕事ができるようなることが欠かせない。そのためには、コストがかかっても、有望な人材にはプロジェクトリーダーの役割を割り当てたり、海外駐在をさせたりする。
日本企業から海外支社に赴任するのと違い、外資系の海外拠点は完全にアウエーの環境だ。そこで、仕事すれば、相当苦労し鍛えられて、国際的に通用する自分のスタイルを作り上げられる。
また、会社を日本法人以外から眺めることで、会社がどのような方向に向かい、どのような人がどのように運営しているかを観察し、理解を深めることができる。つまり、ビジネスを違う角度から見ることができるようになる。