筆者のようにネーティブとはほど遠いレベルの英語でも、何とかやってこられたのは、外資系で実際に働いて、自分に合う方法を身につけられたからだ。

外資系は民主的ではない~有望な人材として認識されろ

 外資系では、能力開発の機会が全員に平等に与えられるわけではない。主な能力開発の目的は会社を引っ張っていけるリーダーを育てることだから、将来性のある人材に集中的に投資する。

 外資系では2つの側面から人材が評価される。1つは現在のレベルで、もう1つが将来性だ。現在のレベルは報酬に反映されて、将来性は能力開発の集中度に反映される。従業員は相対評価され、概ね上位20%が将来性が高いとフラグがつけられる。

 フラグの力は大きく、海外研修や異動の機会があるときには、フラグのついた人が優先的に選ばれる。

 外資系の良いところは、こうした評価が本人に明確に伝えられることだ。もし、フラグをつけてもらえなかったら、どこをどのようにしていったらよいか上司と話し合えばいい。フラグを新たにつけてもらえたり、なくなったり、外資系で逆転は日常茶飯事である。

 また、「外資系企業で成功するための10か条」で述べたとおり、自分の社内マーケティングを怠ってはいけない。

 本社から上席が来たときや、会社全体の会議の際には、プレゼンテーションを買って出るとか、ミーティングが終わった後に億劫がらずに他の上席に話しかけに行くとか、とにかく恥ずかしがらず、自分がどんな人間なのかを見せるべきだ。

 ちょっとした社内マーケティングが、自分の進路に大きな影響を与えることもよくある。

 例えば、プロジェクトで欠員が出て人を探している際に、「あいつならなんとかやってくれそうだ」と抜擢されるとか、知っていてなんとなく好印象を持っているというだけで、思いがけずいい仕事が回ってくることがある。

 自分の評価が明示されるというのはごまかしが利かないのでつらい面もある。しかしながら、曖昧なままにされて、人生の終盤で“こんなはずではなかった”と、後悔することの方が最悪だろう。

 オープンな評価の下で、やるべきことをして、納得して生きていくことが最終的に満足できる道と言える。