「煮る」ものだったご飯、
「炊く」に変えた台所事情とは

変わるキッチン(第2回)~「炊く」

2014.05.30(Fri)澁川 祐子

 変化が起きるのは、1955(昭和30)年に東京芝浦電気(現在の東芝)が「自動式電気釜」を、続いて1957(昭和32)年に東京ガスが「ガス自動炊飯器」を発売してからだ。

 「ガス自動炊飯器」は翌年に5万6000台を売り上げるヒットとなり、その後しばらくはガス炊飯器の優勢が続いた。理由は、ガス炊飯器の方が火力が強く、おいしく炊けるからだった。

 辛口な評価で知られる『暮しの手帖』でも、1965(昭和40)年1号の<ガス釜をテストする>という記事では、<いま出ているガス釜は、いい道具である。ご飯がおいしく炊けるし手間もかからない。電気釜にくらべて、味はもちろん、時間も費用も安くつく>と結論づけている。

 電気とガスの形勢が逆転するきっかけは、1972(昭和47)年に三菱電機から、炊飯機能と保温機能とを合体させた「三菱電子ジャー炊飯器」が発売されたことだった。いまでは、炊飯器が保温機能を兼ね備えているのは当たり前だが、当時は炊飯器でご飯を炊いた後、保温専用の電子ジャーに移し替えなければいけなかった。「三菱電子ジャー炊飯器」は、それらを1つで済ますという画期的な商品だったのである。

 さらに1979(昭和54)年、松下電器産業(現在のパナソニック)が、火加減を自動調整するマイコン内蔵電気釜「マイコンジャー炊飯器 SR-6180」を発売したことを境に、炊飯器は多機能時代に突入していく。

 以後、1988年にIHジャーの登場、2006年には10万円台の超高級炊飯器ブームと、炊飯器の開発競争は続いている。その一方で、2000年を過ぎたあたりからは土鍋炊きが見直され、ご飯専用の土鍋も数多く登場している。

 ただ、こうした変化を見ていて思うのは、炊き干しに移行した江戸時代から本質的には変わっていないということだ。

 いかにおいしくご飯を炊くか。いくらハイテクになろうとも、ローテクに後戻りしようとも、どちらにせよ、「はじめチョロチョロ~」をどうやったらうまくできるかを我々は追求し続けているのだ。

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