この1週間も韓国や中国についての記事が読まれている。いくつもの記事がランクインしているが、この中で最も象徴的な記事と言えば、12位に入った英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の「韓国にのしかかる過剰教育のつけ」ではないかと思う。
競争社会、度が過ぎれば大きな問題に
韓国という国は人口が日本の半分以下で日本に追いつけ追い越せと頑張っているために、韓国の抱える問題は同じように日本が悩む問題を先鋭化しやすい。
その1つが大学進学率だろう。大学進学率が高いことは、国家として教育水準が高いことを意味するので誇れることである。
しかし、度を過ぎれば問題の方が多くなる。FT紙の記事はその点を鋭くついている。
韓国の大学進学率はすでに70%を超え、アジア通貨危機以降、英語教育に力を入れ激しい競争社会の中で若い人たちは不自由なく英語を話せるようになっている。
しかし、そうした教育への取り組みと産業の発展がリンクしないために、大学は出ても就職先がないという問題が深刻化している。
その結果、優秀な人材が米国などの海外を目指すことになり、サムスングループなど一部の大企業を除き人材不足になってしまう。
とりわけ中小企業でそれが深刻となり、国の発展を土台で支える産業が育ちにくくなるのだ。
日本でも韓国ほどではないが必要以上に大学進学率が高まりすぎている可能性がある。それが東京一極集中の原因の1つとなっている。
中央集権的な国家の発展が限界に達しつつあるいま、地方で農業や林業、そしてユニークな中小企業の活動が活発化するような政策の転換が必要である。その際、専門外となる知識を大学で身につけても将来の糧にはなりにくい。
FT紙が指摘しているように、むしろ早くから専門となる産業に入って専門性を磨くことが本人のためにも国の発展にも大切となる。韓国が抱えるこうした問題をぜひ他山の石としたいものである。