周知のように、日本共産党は東京都議選、参院選で志位体制になってから初めて議席を増やした。最近の世論調査では、支持率で民主党を追い抜き、自民党に次いで第2党になっているものもある。
民主も、みんなも内紛を抱え、維新は堺市長選挙で惨敗するなど、野党が軒並み低迷しているなかで元気な野党は共産党だけ、という状況の反映なのであろう。
ところで参院選挙の開票日、共産党は躍進によほど浮かれていたのだろう。中央委員会常任幹部会(注:共産党の最高幹部の集まりで、党組織を実質的に動かしている)声明で、「わが党はこれまで、1970年代、90年代後半の2回にわたって、国会の議席の大幅増を果たすなど、“躍進の波”をつくりだしてきました。6月の東京都議選挙につづく今回の躍進は、“第3の躍進の波”の始まりともいうべき歴史的意義をもつものです」と述べていた。
私はこの総括を読んだ途端に、思わず「馬鹿なことを」と思った。躍進を「波」で表現するなど、政党にとってあり得ないからだ。波は必ず引くものである。現に、70年代の躍進も、90年代後半の躍進も、瞬く間に引いてしまった。「第3の波」という総括は、波が引くことを想定しているようなものだからだ。
このことを共産党幹部が出演するテレビ番組で指摘すると、最近では「波」を削除して、「第3の躍進」と言っているようだ。だが、これでもやはり政党の総括としては落第である。この調子だといつか「第4の躍進」と言うときが来るだろう。もちろんその前には、いったん低迷期が訪れていることになるのだが。
ここには政党としての大志、展望が感じられない。数議席を増やしたり、減らしたりを繰り返すのが共産党の存在意義ではあるまい。どんな日本をつくりたいのか、そのために何議席必要なのか。そのためにどうするのか。この目標、基準を持っているなら、「第3の躍進の波」などという無基準な総括はできなかったはずだ。
減り続ける「しんぶん赤旗」の発行部数
共産党の財政は、「しんぶん赤旗」の売り上げによって賄われている。2011年の政治資金収支報告によれば、「しんぶん赤旗」など機関紙等の収入が199億円で、総収入の85.2%を占めている。ただよく言われるように、だから金持ちということではない。新聞、雑誌の発行にはコストがかかるからである。同報告によれば、そのための支出が146億円となっている。
最盛期には、公称350万部を超えていた機関紙の発行部数が、日刊紙は20万部を割り、日曜版(週1回発行の週刊紙)は100万部を割るところまできている。
もともと日刊紙は、ほぼ恒常的に赤字であったが、その赤字分を埋めても余りある黒字を出してきたのが日曜版である。その日曜版が100万部を割り込むというのは、共産党が財政面で窮地に落ち込むということである。