1998年の基準だったら、いまの日本人は1600万人が高血圧という認定になるけれど、新基準では3700万人が高血圧ということになった。実に2倍以上に膨れ上がった。基準の操作で病人を作り出し、医療を受けさせようというわけだ。

 そもそも年齢を重ねると血管が硬化して体の隅々まで血液を送れなくなるから血圧は高くなって当たり前。それを無理やり下げたら、体にいろいろ問題が生じてしまう。

 それなのに日本人をみんなメタボにしてうまい汁を吸おうという輩がこの国にははびこっているんだな。筆頭は医療機関だけど、厚生官僚もグルだよね。天下り先づくりにご熱心だからね。

川嶋 先生は孤軍奮闘、既得権益に挑戦されていますが、仲間づくりのようなことはされないのですか。日本の医療を本格的に変えようという志のある先生たちを集めるとか。

近藤 少なくとも抗がん剤治療をしている人たちは改革したくないよね。仕事がなくなっちゃうから。がん治療ワールドの外にいる人たちは分かっていて、自分の患者には抗がん剤はやめなさいと言っているけど、そういう人たちでも表に出てきてマスコミに「抗がん剤は要りません」なんて積極的に発言する人はほとんどいない。

 それに、言ったところで「専門家じゃないくせに何を言うか」ということになる。メディアにも取り上げてもらえない。

川嶋 それは日本に突きつけられた現実としては厳しいですね。既得権益の強固さは原発村以上のものがありますね。何と言うか、これは私たち日本人の中にある根っこの問題のような気がします。

 これまでお医者さんは神様だから全部任せてたという。お医者さんもそうですが、「お上」という考え方ですね。自分自身で考えて自主的に行動することに慣れていないというか、自主的に行動しないようにされてきてしまった。

近藤 まぁそうだな。だからその材料となる医学的な事実というのは私がこれからも発信していくんだけど、治療を受けている人たちの意識が変わらないとだめだね。

 先日、中村勘三郎さんが亡くなったでしょう。初期がんだというのに発見から4カ月で。こういうときにメディアが何を書くかというのも大きな問題だよね。勘三郎さんも人間ドックなんか行かなければ、まだ生きていたことは確実です。

川嶋 最後にお聞きしたいのですが、がんの予防方法は何かありますか。

近藤 タバコを吸っている人はやめること。あとはバランスいい食事。健診は症状が出てきてからやればいい。そこの段階で治るものは治るし。治る治らないは決まってるから。

 積極的な予防法はないね。ストレスは心理的なものだから、心理状態が変わって遺伝子が変化するかというと、それは多分否定的だと思う。

 精神的な影響で何らかの物質が変化して、それが遺伝子に働きかけないと。神経がいくら働いても、遺伝子を傷つけるかは疑問です。

川嶋 どうもありがとうございました。