南東や南西に向かう飛行機、例えばハワイとかインドなどに向かう便に乗っていると、ちょっと不思議な経験をすることがある。と言っても誰もがそれに気づくわけではない。
長旅に疲れ始めた頃、それは起きる
長距離のフライトに疲れた頃、飛行機に取り付けられたテレビで映画を見るのをやめ、飛行状態の画面にすると「それ」が起きるのを確認できる。
南東に向かう場合、それまで時速100キロを超えるような猛スピードの追い風(tale wind)に乗って順調に飛行していたはずの飛行機が、急に向かい風(head wind)を受け、飛行速度(ground speed)が大きく落ちてしまうのだ。
長距離フライトの疲れも手伝って、目的地まであと少しなのになかなか到着しない飛行機にイライラが募り出す。
気にしなければいいのだが、気になり出すと余計気になって仕方なくなる・・・。
私のような高所恐怖症・閉所恐怖症だと、イライラが高じてメーンキャビンの窮屈さに耐えられなくなる。
用を足したくもないのにトイレに立ち、その前で屈伸運動をしてフライトアテンダントに変な目で見られる屈辱を味わうことにもなる。
そんなどうでもいいことに気づかなければよかったのに後の祭り。つい、「コリオリめ!」などとつぶやくと、さらに周りから変な奴だという視線を受ける羽目になる。
コリオリというのは、もちろん「コリオリの力」として有名なフランスの科学者の名前である。子供の頃に地理や科学の時間に習った東向きの偏西風と西向きの貿易風を生じさせるのが、地球の自転によって生じるコリオリの力である。
地球はどこでも同じように1日で1回転しているものの、地表の運動速度は場所によって大きく異なる。つまり地軸に近い北極や南極付近では遅く赤道上で最も速くなる。