「天下国家のことより自分の身分保障」。最近の国会議員は、そんな本音を国民の前にさらけ出しているように見える。国民の上に立つリーダーたる資格がある人はいったい何人いるのだろう。私たちはそろそろ国会議員の選び方を根本から見直さなければならないのではないか。
弁巧みにできもしないことを論う人ではなく、厳しい財政の中でもアイデアと行動力で地方自治で確かな成果を上げた人を国政に送り出す。そうした人たちの中から国のリーダーである首相を決める。
地方財政の第一人者、大和田一紘さんの地方論は今回、小泉純一郎改革や平成の大合併に切り込んでいく。そこから見えるのは、地方を変えなければ国は変わらないという姿だ。
介護いらずの多摩市、行政が老後の面倒を見てくれる武蔵野市
川嶋 前回、東京の昭島市がうまく構造転換して若い人たちが住む町に生まれ変わったという話がありましたが、最近は、高齢者が郊外から都心近くに戻ってくる動きもありますね。
大和田 交通網や買い物などの利便性が理由でしょうが、都心部の方が医療機関が充実していますからね。
武蔵野市なんか医者が余るほどいます。医者と弁護士だらけ。国立市もそうです。特に武蔵野市は、分譲住宅に住んでいれば一生行政が面倒を見てくれます。老後の心配がない。
川嶋 そんなに手厚いんですか。
大和田 武蔵野市には福祉公社というのがあって、自分の持っている分譲住宅の権利を市に渡せば、身寄りがなくても面倒を見てくれる。武蔵野方式と言って、全国で武蔵野にしかない制度です。
川嶋 それだけ豊かで、住みやすい地域だということですね。
大和田 武蔵野市は東京都市町村の中でもダントツに財政力指数*1が高いんです。平成21年度は1.61で第1位、第2位は調布市の1.35です(総務省 平成21年度市町村決算カードによる)。
*1 財政力指数とは地方公共団体の財政力を示す指数で、1.0を超えると普通地方交付税の不交付団体となる。財政力指数が高いほど自主財源の割合が高く、財政力が強い。