株式市場も新年度相場入りした2010年4月1日、市場関係者の目は新規上場の第一生命株式の初値に注がれた。久々の大型上場が株式市場の起爆剤になるとの期待に加えて、予想外の「大人手当」に財布のヒモが緩み、景気を刺激することへの期待感も大きい。
第一生命の上場に際して、「株券」を受け取った契約者は150万人。上場初値の16万円で計算すると、約2500億円相当の価値が生じたことになる。さらに、株券ではなく現金で受け取りを希望した人や、端株分を現金で受け取った人に配分された現金総額は1兆円に上る。
麻生太郎政権の下で配られた定額給付金の総額は1兆9000億円。第一生命上場によって個人の懐を温めた「現金+株券時価評価」の総額はこれには及ばないものの、薄く広くばら撒かれた定額給付金よりも、特定の個人に厚く配られた分、消費に回る比率ははるかに高いはずだ。
相互会社が株式会社化すれば、「大人手当」効果で消費に刺激?
第一生命の上場を意識してなのか、日本生命の岡本国衛社長は3月末に報道各社のインタビューに応じ「『お客さまのために』を重視するのが相互会社の精神。今後も相互会社としてやっていきたい」と株式会社化に否定的な見解を示した。
しかし、最大契約者数を誇る日生が上場すれば、「大人手当」を受け取る人数も、金額も、第一生命以上となるのは確実で、その波及効果は計り知れない。しかも子ども手当と違って、「大人手当」は国家財政に負担は掛からない。予算を使わずして景気刺激効果を創出できる。つまり、相互会社は民間埋蔵金なのだ。
この際、相互会社を禁止して、生命保険会社を一気に株式会社化してはどうだろうか。カードを切れるのは1回限りだが、国家財政厳しきおり、税金を使わない景気刺激策は理に適っている。もちろん民の経営形態に官が口を出すなど常識的にはあり得ないことなので、実現に道筋を付けるとすれば、「郵政民営化リセット」など大胆な改革を断行している亀井静香金融・郵政担当相の在任中にやるしかないか・・・?
「デフレ」どこ吹く風? 資産効果で高額サービスに人気
冗談はさておき、同じ4月1日の寄り付き前に注目を集めたのが、日銀短観だ。