(写真:アマゾンHPより)

 米アマゾン・ドット・コムが開発中の新型音声アシスタントには、同社が出資する米新興企業、アンソロピック(Anthropic)のAI(人工知能)モデルが採用される見通しだ。アマゾンは自前のAIモデルを開発しているが、期待通りの成果を得られていない。アンソロピックの技術を用いて収益化につなげる考えだ。

有料版Alexa、一度の呼びかけで会話継続進行

 英ロイター通信などが報じた。アマゾンは現在、音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」の新版を開発している。ロイター通信は2024年6月、アマゾンが複雑な質問や指示に対応できる高性能AIソフトウエアを搭載した上位版を導入し、これに月5~10ドル(約700~1400円)超の料金を設定する計画だと報じていた。アマゾンはこれら上位版を「Remarkable Alexa(非凡なアレクサ)」と名付けている。

 現行の無料版サービスはアマゾン社内で「Classic Alexa(標準的アレクサ)」と呼ばれており、こちらにもAI搭載する。ただし、この下位版は無料のまま提供される予定だという。

 関係者によると、有料版Alexaは、会話が継続進行するように設計されている。一連の会話の中で、以前の質問や回答を覚えており、それらに基づき新たな回答を生成する。つまり、会話中に「アレクサ」と何度も呼ぶ必要がなくなり、よりパーソナライズされた対応が期待できる。

 加えて、利用者は、旅行に持っていく服に関するアドバイスや、ニュース記事などの情報収集を依頼することができる。食事を注文したり、電子メールを作成したりといった、より複雑なリクエストを一度の指示で実行できるとされる。

アマゾン、独自AIモデルで成果出せず

 アマゾンはこれらに搭載する独自のAIモデルを開発している。しかしロイター通信によれば、自前のソフトウエアを搭載した改良版Alexaの初期バージョンは回答に詰まることがある。質問を認識して答えるまでに6秒から7秒かかることがあったという。