こうした独自AIに対する懸念から、アマゾンは同社が出資するアンソロピックの生成AI技術基盤「Claude(クロード)」を採用することを決めた。

 アマゾンの広報担当者は、「機械学習(マシンラーニング)モデルに関しては、自社のモデルやパートナー企業のモデルなど、様々なモデルを過去に使用し、今後も使用して、顧客にとって最高の体験を構築していく」と述べた。

Alexa部門は10年超赤字続き

 アマゾンは14年、Alexaの音声認識・操作機能で消費者を驚かせたが、最近のAIの飛躍的な進歩の中で、その機能は時代遅れと感じられるようになった。現在、Alexaや米アップルの「Siri」を利用している多くの人は、タイマーやアラーム、天気予報といった基本的な機能しか使っていないと指摘される。

 アマゾンが当初狙っていたのは、Alexaを通じて利用者に買い物をしてもらうこと。これにより、収益を生み出そうと考えた。しかしこの狙いはほとんど成功しておらず、Alexa部門は10年超にわたり赤字が続いている。

スマートホーム全体の制御担う存在に

 アマゾンはこの状況を打開したい考えだ。関係者によると、同社は新型Alexaを高度なホームオートメーション・ハブと位置づけている。利用者の好みや習慣を記憶して様々な操作を自動実行するように設計されているという。例えば、朝のアラーム設定やテレビ番組の録画などを自動化するという。単なる音声アシスタントではなく、スマートホーム全体の制御を担う中心的な存在にしたい考えだ。

 アマゾンによれば、同社は23年時点で5億台以上のAlexa搭載機器を販売しており、消費者市場で一定の基盤を築いている。米銀大手バンク・オブ・アメリカのアナリストであるジャスティン・ポスト氏は、Alexaのアクティブユーザー数は約1億人に上り、その約10%が有料版Alexaを利用する可能性があると予想している。仮に月額料金を5ドルとすると、Alexaサブスクリプションの年間収入は6億ドル(約880億円)という計算になる。