中国のテクノロジー大手がAI(人工知能)分野への投資を拡大していることが明らかになった。米国の半導体輸出規制などの制約下においても、アリババ集団や騰訊控股(テンセント)、百度(バイドゥ)といったIT(情報技術)大手は、大規模言語モデル(LLM)の開発に不可欠なプロセッサーやインフラへの投資を大幅に増やしている。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)がこれら企業の関係者の話として報じた。
アリババ、テンセント、バイドゥ、設備投資2倍に
アリババ、テンセント、バイドゥの3社を合わせた2024年上半期の設備投資額は、前年同期の230億元(約4700億円)から500億元(約1兆200億円)に増加した。これらの企業はAI、特にLLMの開発に不可欠なプロセッサーやデータセンターなどのインフラ整備に積極的に投資している。
アリババCEO(最高経営責任者)の呉泳銘(エディー・ウー)氏は先ごろ、AI駆動型クラウドサービスに対する需要が非常に高いと強調し、AIへの投資を継続していく方針を示した。
アリババは、自社のAIモデル「通義(トンイー)」シリーズを訓練するために、プロセッサーを購入し、クラウドサービス「阿里雲(アリクラウド)」を通じて、他の企業にコンピューティング能力を貸し出している。
同社の24年上半期の設備投資額は前年同期比2.2倍の230億元(約4700億円)に達した。24年4~6月期におけるクラウド事業の売上高は前年同期比6%増。AI関連製品の収益は2倍超になった。
計算能力制限の半導体でAI開発
一方、これら中国企業は米政府の先端半導体輸出規制により、米エヌビディア(NVIDIA)製GPU(画像処理半導体)である「H100」や次世代GPUシリーズ「Blackwell(ブラックウェル)」を購入することができない。そのため、エヌビディアの「H20」など、計算能力が制限された製品を購入している。