大河ドラマ『光る君へ』第26回「いけにえの姫」では、道長が長女の見上愛演じる藤原彰子を入内させることを決意した。そこで今回は、藤原彰子を取り上げたい。

文=鷹橋 忍 

重要文化財《紫式部日記絵巻断簡》鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館 出典=ColBase

道長の長女

 藤原彰子は永延2年(988)に生まれた。

 母は、道長の嫡妻・黒木華が演じる源倫子だ。道長が23歳、倫子が25歳のときの子である。

 同母弟に、渡邊圭祐が演じる藤原頼通と、藤原教通、同母妹に、藤原姸子(後の三条天皇中宮)、藤原威子(後の後一条天皇中宮)、藤原嬉子(後の東宮敦良親王妃、後冷泉天皇の母)がいる。

 正暦元年(990)12月、3歳の彰子の着袴儀(はじめて袴を着ける儀式)が行なわれた。

 この年の正月5日、塩野瑛久が演じる一条天皇が11歳で元服し、正月25日、井浦新が演じる藤原道隆の娘・高畑充希が演じる定子が、14歳、もしくは15歳で入内している。

 定子は同年10月5日に中宮となり、一条天皇から寵愛された。

 長徳元年(995)、彰子が8歳の年、4月に藤原道隆、5月には玉置玲央が演じる藤原道兼と、道長の二人の兄が相次いで亡くなると、道長は一条天皇から内覧に任じられ、政権の座についた。

 翌長徳2年(996)、道長の最大の政敵だった三浦翔平が演じる藤原伊周(藤原道隆の子、定子の兄)は、弟の竜星涼が演じる藤原隆家(定子の弟)ともに「長徳の変」で自滅。定子は一条天皇の子を懐妊していたが、自ら髪を切り落とし、内裏を退出している。

 

華やかな入内

 長徳の変後も、一条天皇の定子への寵愛は続いた。

 長徳2年(996)12月、定子は一条天皇の第一子・のちに脩子と名付けられる皇女を出産し、長保元年(999)には再び懐妊している。

 そんな状況の中、同年、数えで12歳となった彰子は、裳着の儀(女性の成人式)を終え、11月1日、20歳の一条天皇に入内した。

 道長の日記『御堂関白記』長保元年11月1日条によれば、彰子の入内に、多くの公卿や殿上人が付き添った。

 歴史物語『栄花物語』巻第六「かかやく藤壺」には、容姿や人柄に優れ、気品があって育ちのよい者を選りすぐった女房40人、童女6人、下仕え6人が、彰子のお供として内裏に参入されたことが記されている。