「ガザの大量殺戮はひどすぎる」

ウォーカー:これまで米国はイランを攻撃するときに、核施設などを限定的に攻撃してきました。ところが、今回は国の指導者を殺害した。イランの人々の屈辱は計り知れません。「命のかぎり米国と戦おう」と考える人もいると思います。米国の中ではもう終わったことでも、相手は長く許さないでしょう。それが今後どういう形で出るかです。

 不思議なのは、今回のハメネイ師殺害後、トランプ大統領はあまり人前に出てきてこの件について説明していません。そこには何らかの意図や事情があるような気もします。

 このように他国の指導者を殺害するという手法を米国が取れば、他の国もそうした手法を真似しようとするかもしれません。戦後80年、世界の国々は国際秩序を重んじてきましたが、ロシアや中国が同じように米国の大統領を暗殺したらどうなるでしょうか。

 こういう時だからこそ、日本がイランと米国、あるいはその他の国々との架け橋になるべきです。イラン、サウジアラビア、トルコなど、日本は中東の国々と良い関係を構築してきました。政治もありますが、どちらかといえばビジネスや文化面などのソフトパワーで培った絆です。中東では日本はとても信頼され尊敬されています。

──中東において、イランは必ずしも周辺の国々と良好な関係ではありませんが、イスラエルがあれだけガザを破壊した後での今回の殺害です。米国やイスラエルとアラブ諸国の溝はさらに深まるのではありませんか?

ウォーカー:アラブ社会の中でイランは良く思われていません。マレーシアやインドネシアのイスラム教徒たちは、ガザのパレスチナ人やイランのシーア派に近いと思いますが、サウジアラビア、ヨルダン、シリアや湾岸諸国の人々はイランを嫌っています。

 実は、パレスチナもわりと孤立していて、すごく心配してもらえるような存在でもありません。ただ、ガザの惨状を前に、米国に失望を感じる人も出るかもしれません。そうした失望感がどのように米国の行く末に影響していくのか、これから徐々に明らかになると思います。