トランプがすり減らしている米国のソフトパワー
──トランプ政権は最近、ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束し、イランの最高指導者ハメネイ師を殺害しました。また、第二次トランプ政権からグリーンランド、パナマ運河、カナダなど、国外の領有権も主張し始めました。もともと外の事に首を突っ込まないことをよしとしていたトランプ政権ですが、なぜ覇権的な姿勢を見せ始めているのだと思いますか?
ウォーカー:米国に一番あるのはハードパワー、軍事力です。
ベネズエラやイランのような国を的確なオペレーションで崩せるのはアメリカだけです。中国の軍事力も拡大していますが、こうした作戦はやったことがありません。実戦も含め米国は軍事力で秀でている。米国の凄さを見せつけるためにこれを使うべきだ、とトランプ大統領は考えたのです。
ハードパワーは短期的に使う分には効果がありますが、イランとの戦いが長期化してずっと米国がそこに関わるような状況になると米国は弱くなります。いかにしてなるべく戦わずして勝つのか、これが重要です。
トランプ大統領が忘れがちなことは、80年かけて米国が築き上げてきたものを彼の手法はすり減らしているということです。
支持を集めるためにトランプ大統領は排外的な主張を掲げてきましたが、その結果、外から人が入ってこない国になり始めている。反抗的な大学を締め上げるようなこともやっています。こうした行いは、米国のソフトパワーの衰退につながる。
カナダも欧州も今の米国に戸惑い、トランプ大統領を敵視している。グリーンランドの件では欧州と対立を深めました。そして、イスラエルと一緒にイラン対策に乗り出しましたが、こんなことをすればイランの人々の憎悪をかき立てます。テロが増える不安もある。
しかし、トランプ大統領は長期的なことは考えていません。中間選挙のことだけを考えている。
──米国はハメネイ師を殺害しましたが、その前には娘婿のジャレッド・クシュナー氏やスティーブ・ウィトコフ中東特使などが中東諸国を回り、指導者や幹部たちと話をしていました。こう考えると、イラン攻撃は皆の了解が取れていたのかな、とも思えます。ハメネイ師殺害後の展開について、どんな見立てをお持ちですか?