「借金投資」に熱中してきた個人投資家にとってまるで“死刑宣告”、政権支持率にも影響
何より、株価の暴落は政治的にも李在明(イ・ジェミョン)政権にとって致命傷となる可能性が高い。
というのも、これまで政権の支持率を支えてきた核心的な柱の一つは、株価の堅調な上昇にあったからだ。特に「借金してでも投資せよ」と低利の株式担保融資まで推奨してきた政策基調の下、過度なレバレッジをかけていた個人投資家たちの破産は、即座に政権の存立危機を意味する。
3月4日、フィリピン・マニラ市パサイで開催されたフィリピン・韓国ビジネスフォーラムで講演する李在明大統領(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
地方選挙を控えた李在明政権は、政権の命運を賭けて証券市場の死守に乗り出した。現在、政府の実効性のあるアクションは為替市場の防衛に集中している。心理的なデッドラインである1ドル=1,500ウォンを守るため、為替当局は無制限の為替介入に踏み切り、李昌鏞(イ・チャンヨン)韓国銀行総裁は海外出張を急遽延期し、緊急会議を主宰して市場に強力な警告メッセージを送っている。
政権発足以来、為替急騰のたびに当局と国民年金が協力して防衛に活用した資産規模は、約500億ドル(約7.5兆円)以上に達すると推計される。今回も「利用可能なあらゆる手段」を公言しているだけに、数百億ドルに及ぶ公的資金が追加投入される見通しだ。
10兆ウォン規模の「証券市場安定ファンド」の発動も秒読み段階に入った。株式市場が非正常に急落した際に投入されるこの「非常用資金」は、2008年の世界金融危機を含め、歴史上わずか4回しか執行されていない“最後の砦”である。韓国政府は5日の臨時閣議を通じて、この5度目となる「ゴーサイン」を出す可能性が高い。証券市場安定ファンドを含め、債券および短期資金市場全般を防御するために割り当てられた資金だけで「100兆ウォン+α」規模に達する。
ただ、こうした政府の「緊急輸血」が果たして市場の流れを変えられるかは不透明だ。すでに市場の至る所で「KOSPIバブル論」が強く提起されてきたからだ。
最近のKOSPIは、「企業バリューアップ」(日本の「資本コストや株価を意識した経営」をベンチマークした韓国版株価浮揚策)への期待感とAI半導体ラリーに支えられ、企業の業績を大きく上回って短期間に急騰したとの指摘を受けてきた。イラン戦争は、この膨らみきった「バブル」を弾けさせる針の役割を果たしたとも言える。
サムスン電子の株価がわずか2日間で20%近く下落したことについて、「過度な期待が拭い取られた後に恐怖が入り込み、適正価値へと戻っていく冷徹な過程である」との見方も多い。2008年のリーマンショック以来18年ぶりに直面した金融危機級の恐怖を前に、韓国経済はこれまでに経験したことのない過酷な試練の前に立たされている。