スエズ運河のような迂回ルートがないホルムズ海峡

 米国とイスラエルの攻撃を受け、イランの革命防衛隊が「ホルムズ海峡を通航することを禁止する」と通告。ホルムズ海峡に通じるオマーン湾で船舶が攻撃を受けたとの情報も流れた。武力行使による危険性が高まれば、日本など先進国の海運企業は運航をストップせざるを得ないからだ。

 すでに海運業界では23年末からイエメンの親イラン武装組織フーシによる商船攻撃が相次ぎ、スエズ運河から紅海を通る航路の運航を24年から取りやめる動きが相次いだ。それから約2年間にわたり、このルートを避け、南アフリカ共和国の喜望峰沖を通る遠回りルートが主流になっている。

 乗組員と航行の安全を重視するとの判断を踏まえれば、ホルムズ海峡の航行が止まる事態も十分に予想できた。

 海上交通情報サイト「マリントラフィック」の3月1日船舶運航データに基づくロイターの推計で、ホルムズ海峡より内側のペルシャ湾に少なくとも150隻のタンカーが錨を下ろして停泊。金子恭之国土交通相は3日の閣議後会見で、同日時点でペルシャ湾内に日本関係の船舶42隻が待機していると明らかにした。日本政府は海運各社で構成する日本船主協会に対し、付近の船舶が新たにペルシャ湾内に入らないように注意喚起した。

 ホルムズ海峡にはスエズ運河のような迂回ルートがない。サウジやUAEはホルムズ海峡が使えなくなった場合に備え、パイプラインを整備しているものの、輸送能力には限界がある。しかも、サウジのパイプラインの出口があるヤンブー港は多くの海運会社が航行を避ける紅海にある。

 1980年代に起きたイラン・イラク戦争時には多くのタンカーがホルムズ海峡で被弾した。当時を知る石油トレーダーから、「産油国のタンカーにホルムズ海峡の外まで輸送してもらい、そこから積み替えて輸送した」という話を聞いたことがある。しかし現在は産油国側もそんなリスクは避けるだろう。