備蓄制度がない天然ガス、3週間分の在庫だけが頼り
こうした事態に備え、日本は官民合わせて254日分(産油国共同備蓄を含む)の石油備蓄を持つ。ただ、ペルシャ湾からの輸出停滞が長期化すれば備蓄は減少し、危機感は日に日に強まる。天然ガスに至っては備蓄制度がなく、およそ3週間分ある電力・ガス各社の在庫が頼りだ。
ホルムズ海峡が封鎖されるという事態を目の当たりにし、週明け3月2日の原油市場で相場は1バレル100ドルに向かう高騰もあり得ると考えられた。しかし、米原油先物(期近)の高値は75ドルで止まり、その後は様子見に転じた。市場では「ホルムズ海峡の封鎖は長期化しないだろう」との声も目立つ。
原油市場の楽観論がいつまで続くかは不明だ。
日本を筆頭に海運企業の多くがすでに2年間もスエズ運河〜紅海ルートを回避している事実は重く考えるべきだろう。戦闘が拡大すればホルムズ海峡だけでなく、主要産油・産ガス国の施設が甚大な被害を受けるリスクも高まる。
マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘共同代表は、カタールのラスラファンにあるLNG施設がイランの攻撃で停止した「20%ショック」を危惧する。世界のLNG(液化天然ガス)供給の20%占める同施設の停止が長期化すれば、この欠落をすぐに埋めることは、LNGの一大産出国の米国でもできないため、「世界経済に巨大な打撃になる」と考える。
天然ガス市場の反応が原油市場よりも強かったのはそのためだ。欧州で天然ガス価格の指標になるオランダのTTF先物は2日に前週末比で一時5割も上昇。アジア市場のLNGスポット取引価格も大幅に上がった。
日本が長期契約で調達するLNGの多くは原油の輸入価格に連動する仕組みだ。スポット市場でLNGを調達しようとしても、その価格もすでに高騰し始めた。