中国の「抑制された対応」は計算された長期的な戦略

 トランプ氏は「エスカレーション回避」を優先してきた歴代政権の蹉跌を教訓に「抑止力を強化することで平和を実現する」ことを目指している。イランの体制を追い込み、中東の「抵抗の枢軸」を無力化したことは中東で米国主導の秩序を再構築する機会になるとクロプシー氏はみる。

 英国の有力シンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)中東・北アフリカプログラムのアーメド・アブドゥ准研究員はイラン攻撃直前の2月27日付論考で、中国の「抑制された対応」は計算された長期的な戦略と分析している。

 アブドゥ氏によると、中国はイランの「包括的戦略パートナー」であり、イラン産原油の80%以上を購入する最大の支援者。しかし米国による圧力や昨年の「12日間戦争」で中国は口では米国を非難すれども、イランへの武器の直接提供は避けた。

昨年9月、上海協力機構首脳会議に出席するため北京を訪問した際、習近平主席と会談したイランのペゼシュキアン大統領(写真:SalamPix/ABACA/共同通信イメージズ)

 トランプ氏が中国の親密なパートナー、ニコラス・マドゥロ大統領(当時)を拘束し、中国が数十億ドル規模の投資を行っていたベネズエラの石油部門を掌握した後も中国は何も行動を起こさなかった。経済制裁を恐れて中国は米国との決定的な対立を避けているからだ。